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目で視る耳鼻咽喉科疾患(内視鏡所見)

鼻の機能は人間にとって大切です

general ENT doctorとしての関わり
  • 鼓膜所見:急性中耳炎、滲出性中耳炎、鼓膜内陥症、外傷
  • 鼻内所見:アレルギー性鼻炎、花粉症、急性感染症、鼻出血
  • 上咽頭所見:アデノイド組織、アレルギー性炎症の遷延化、急性感染症(Adv.v,Flu.v,StreptA,etc.)
  • 急性扁桃炎:腺窩性扁桃炎(陰窩性扁桃炎、滲出性扁桃炎)
  • ヒトの鼻の機能の大切さ:シェーマ
  • アレルギー性鼻炎および花粉症発作時、炎症の遷延化
  • アレルギー性鼻炎・花粉症が発症要因となりうる疾患:中耳炎、上咽頭炎、後鼻漏、鼻出血、急性副鼻腔炎、鼻性気管支炎、喘息を含めた気道過敏症、睡眠障害 
  • 上気道閉塞性疾患:いびき、口呼吸、睡眠障害、SAS
  • 感染に関するワルダイエル咽頭輪との関わり
    アデノウィルス感染症、溶連菌感染症など。
目次
  1. 鼓膜発赤
  2. 急性中耳炎
  3. 激痛を伴うbulla型中耳炎、外耳炎
  4. 滲出性中耳炎、鼓膜換気チューブ留置術
  5. 中耳貯留液を伴った鼓膜内陥症
  6. 難治性中耳炎
  7. 外傷性鼓膜穿孔
  8. 乳幼児の耳管について
  9. 耳管狭窄症
  10. 花粉症時期の耳管・中耳へ及ぼす症例
  11. 花粉症後期中耳炎罹患
  12. 小児SDBの学業成績への影響
  13. 鼻づまり、鼻水
  14. 口呼吸
  15. アレルギー性鼻炎擤鼻による耳痛
  16. アデノウイルス(Adv)感染症
  17. 違和感、喘鳴、異物

鼓膜発赤

重症度スコアー0(なし)

0歳児

鼻漏で来院、急性中耳炎あり、アモキシリンで改善せず、クラバモックス投与にて一時軽減、治ったと思っていたが、夜間不機嫌で再診。著明な鼓膜の膨隆を認め、鼓膜切開を施行した。このような著明な膨隆は鼓膜内の膿のため灰白色を示すが、内視鏡を用いない弱い光源では発赤として観察される。

重症度スコアー4(鼓膜全体の発赤)

1歳児

一週間前より感冒様症状あり、鼻漏、不機嫌で来院。

血管の怒張を伴う膨隆した灰白色鼓膜所見。血管の拡張の強い症例は一般の拡大耳鏡では発赤として捉えられることが多い。アモキシリン5日投与、中耳貯留液消失まで3週間要した。

(小児・思秋期診療最新マニュアル141号特別号 2012年より)

急性中耳炎

症例1

1歳児:鼓膜の後上部から外耳道へ向かい血管怒張を認め鼓膜緊張部の膨隆が認められる。(不機嫌、夜間何回もおき、鼻漏あり、耳痛は訴えない。)

症例2

1歳児:耳管鼓室口周囲のみ空気が透見できる。中耳貯留液は耳管から鼻咽腔へ排泄される。

症例3

1歳児:中耳腔下方へ膿性貯留液を認める。

(鼻漏のみで自覚症状なし。貯留液が増量する場合と消褪する場合がある。)

症例4

2歳児:鼓膜下方、上方へ膿性貯留物が透見できる。中耳腔へair spaceあり。

(突然の耳痛を訴え来院。)

(小児・思秋期診療最新マニュアル141号特別号 2012年より)

激痛を伴うbulla型中耳炎、外耳炎

(小児・思秋期診療最新マニュアル141号特別号 2012年より)

滲出性中耳炎

1歳男児保育園児症例

耳症状はなく鼻漏がでると反復性中耳炎を繰り返す症例。乳児から3歳児は耳症状を訴えないことが多い。

滲出性中耳炎が存在し、急性感染を伴うと急性中耳炎となる。この症例はチューブ留置術を行った。

4歳児症例

咳嗽、鼻漏にて来院、耳症状は訴えていなかったが、滲出性中耳炎が認められた。

反対側へチューブが留置されているため不自由を感じていなかった。クラリスロマイシン、ムコダインを投与。

(小児・思秋期診療最新マニュアル141号特別号 2012年より)

 

滲出性中耳炎の耳管機能とチューブ抜去後の予後の関係

  • チューブ抜去後3年以上観察した結果。
  • 中耳腔陰圧時耳管機能良好耳はすべて良好であった。
  • 陰圧時の不良例でも半数が良好であった。
  • 耳管の開口圧が低かった半数が予後不良であった。
  • 耳管の開口圧の非常に高い症例は予後不良であった。
  • チューブ留置中に耳漏のある症例の予後は、ない症例に比べ優位に不良であった (P<0.01) 

中耳貯留液を伴った鼓膜内陥症

5歳児症例

鼓膜内陥症例は風邪により中耳貯留液を伴うことがよくみられる。槌骨が突出し鼓膜弛緩部(↑)と緊張部( * )が内陥(陥凹)している。弛緩部が内陥している症例は長期滲出性中耳炎の存在のあったことを意味している。鼓膜内陥症のある症例では低年齢では無自覚性のことが多い。

(小児・思秋期診療最新マニュアル141号特別号 2012年より)

難治性中耳炎

鼻・鼻咽腔の感染の悪化のアーチ

外傷性鼓膜穿孔

乳幼児の耳管について

耳管狭窄症

花粉症時期の耳管・中耳へ及ぼす症例

シーズンを通じての飛散は以下のグラフのようになります。

花粉症後期中耳炎罹患

7歳女児(アレルギー炎症の遷延化+感染)

3月18日:花粉症発作3月22日:右耳痛鼻咽腔の炎症著明、翌日鼓膜所見悪化

 

小児SDBの学業成績への影響

(Dr 千葉より)

幼少時(2-6歳)のひどいいびきが13-4歳時の成績に影響する。

睡眠呼吸障害(SDB)の影響は、後の学業成績にまで影響する。

(Dr 千葉より)

学校成績下位10%の中に睡呼吸障害患者 : 18.1%

手術治療をおこなった24人のみが1年後に成績が向上

SDBの影響は後の学業成績にまで影響し、早期介入により改善可能である? 

鼻づまり、鼻水

あなたは鼻づまり、鼻水はありませんか?

あなたのお子さんの口呼吸に注意!

通常鼻から空気を吸い呼吸しています。鼻が詰まり機能しなくなると苦しくなり口呼吸(口から空気を吸う)となります。

鼻閉の原因
  • アレルギー性鼻炎、花粉症(くしゃみ、鼻水、鼻詰まり)
  • 急性鼻炎
  • 副鼻腔炎・鼻茸
  • アデノイド増殖症

 

アレルギー発作あるいは遷延化により幼児は鼻出血を生じやすい。

アレルギー性鼻炎擤鼻による耳痛

アレルギー性鼻炎症例で擤鼻により耳痛が生じた。中耳腔内へ鼓膜を通して貯留液が認められた(図5a)。鼻内アレルギー所見著明で鼻内へ貯留液が停滞し(図5b)、後鼻腔へ粘液性貯留液(図5c)が認められた。

鼻咽腔の貯留液を清掃すると鼻咽腔・アデノイドの赤発を認め、耳管が大きく開いている(30度2.7mm硬性内視鏡:図5d)。鼻咽腔の貯留液が耳管内へ逆流しやすいことが推測される。幼少児の鼻閉症例ではトインビー現象1)(両側鼻閉で嚥下すると中耳腔が陰圧となり耳管が開きにくくなり、開くと鼻咽腔の貯留液が耳管から中耳腔へ逆流する)が中耳炎の誘引となることが知られている。

鼻咽腔へ粘液性貯留液が存在、除去すると鼻咽腔・アデノイドの発赤を認め耳管咽頭口が大きく開いている。

アデノウイルス(Adv)感染症

アデノウイルス感染症(1歳2日、乳児) (中咽頭へ特徴的な所見なし)

上咽頭所見:アデノイド表層は灰白色フィブリン様物質で覆われていた。不明熱にて来院
Adv迅速検査は鼻腔経由上咽頭より検体採取、Adv陽性を示した。アデノウイルス(Adv)の初期感染部位はアデノイド組織と考えられる。

 

違和感、喘鳴、異物


 

中耳・内耳のシェーマと耳管を含めたモデルを用いて耳管の状態と問診票での症状の説明

小児の耳の違和感:耳の中がボーとする、ぼそぼそ何か音がする。

耳の中の違和感、鼻の中でブルブル音がする(6歳)(鼓膜正常)

10歳児:耳の違和感、詰まった感じ

風呂で潜り鼻をつまんで耳から空気がいっぱいでてきたとのことで母親が心配来院。耳の違和感、詰まった感じ。父親に耳を叩かれことあり。

9歳のとき難聴訴え、呼吸音聴取

終わりに

目で視る耳鼻咽喉科疾患の内視鏡所見を提示しました。
保育園児(特に0歳児)は感染にかかりやすく、炎症の遷延化により病態が改善しない難治症例も多いようです。
生理的な鼻呼吸を親に理解してもらうことは大切でしょう。

 

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