耳閉塞感
耳閉塞感は感性のある人間にとって不安な症状であり、著明な時には耐え難い苦痛となりえます。耳閉塞感は耳管狭窄症が主な原因とみなされていた時代もありましたが、外耳・中耳・耳管・後迷路のどの部位でも生じます。
低音障害型感音難聴、突発性難聴、メニエール病、外リンパ瘻、音響外傷などの内耳疾患は見落とせません。耳管開放症は著明な耳閉塞感を伴うことが多く、急性中耳炎、急性乳突蜂巣炎の回復期に症状が生じることがあります。耳閉塞感を伴う鼓膜内陥症・感音難聴に耳管開放症が隠匿していることがよくあり、一症状・一疾患という観点でなく問診を中心に融通性をもって診断し、治療にあたっています。
目次
耳閉塞感の愁訴
- 耳の詰まった感じ、膜の張った感じ、
- 耳の中へ水の入った感じ、
- 新幹線でトンネルに入った感じ、
- 飛行機で下降時詰まった感じ、
- 高速エレベーターに乗った感じ、
- 耳の中が膨らんだ感じ、水に潜った感じ、
- ボーとした感じ、
- なべを頭からかぶった感じなどである。
突然、徐々に、常に、時折、決まった時間帯。
耳閉塞感をきたす疾患
外耳
耳垢栓塞、異物、湿疹、真菌症、外耳道腫瘍
耳管
耳管機能低下症:耳管狭窄症、耳管開放症、耳管閉鎖障害、軟性耳管
中耳
鼓膜内陥症、滲出性中耳炎、急性中耳炎、急性乳突蜂巣炎、航空性中耳炎、気圧性外傷、慢性中耳炎
耳管疾患
耳管機能低下、耳管狭窄症、耳管開放症、耳管閉鎖障害
内耳
低音障害型感音難聴、メニエール病、突発性難聴、外リンパ瘻、音響外傷、進行性感音難聴
後迷路
聴神経性腫瘍
鑑別疾患
筋性耳鳴、聴覚過敏症、顎関節症の異常など
診察の進め方
問診にて発症の機転・誘因、耳閉塞感に関与する疾患の特徴より推測、局所所見の観察、疾患に応じた検査。
- 耳鏡検査:拡大耳鏡、顕微鏡、硬性内視鏡の観察
- 純音聴力検査
- ティンパノメトリー
- オトスコープの聴取、耳管機能検査
- 画像診断
- 不安度の検査(STAI)
耳閉塞感を伴う鼓膜の膨隆症例
耳閉塞感、感音難聴:耳管開放症ではと自己診断にて来院
急性中耳炎後の著明な耳閉塞感、難聴、耳鳴。
急性音響性感音難聴
音暴露既往の問診と感音難聴の聴力像より診断は容易である。最近ロックコンサート、ライブ、スピーカー近くでの音暴露が多い。